ここしばらく、梅雨の梅雨らしい天気が続いている。冬の季節と
夏の季節のぶつかり合いが日本列島の上空で起きているというが、
この戦いなかなか勝負がつかない。勝負がつかないおかげで、地
上には雨が降り続いている。勝負がつかないから大地には雨の恵
みを与え続けるというのも変わった趣向だが、雨空を見るたびに
気持ちは晴れない。南の島では降り続く雨が画家による殺人を引
き起こすこともあったようだが、この溜り溜まりつつある鬱積を
どうにか吐き出すことができたらとは思わないではいられない。
6月は日本には雨だが、欧州では梅雨と言うものがなく、6月周
辺の季節は欧州では1年で最も気持ちのよい季節だ。(ジューンブ
ライドという言い方が言い表している)その気持ちの良い季節にま
さしく晴天の霹靂という事態が発生した。
英国がEU離脱の国民投票を行い、離脱派が勝利した。
欧州の集合は果たしてイギリスなしに営んでいけるのだろうか?
EUはご存じのように2回の大戦の舞台となった欧州で、もう2度と
(2回起きたが)戦争を起こさないという趣旨と意思の下に始まった
集合(つながり)の発展形である。フランスとドイツが強い紐帯を
意図し英国をはじめとした他の国々が支えてきた。元々欧州に戦禍
をもたらさない構想はイギリスの宰相チャーチルが第2次大戦後誰よ
りも早くとなえた概念だ。欧州大陸の有り様は歴史的に常に島国で
あるイギリスにも直接に関係している。
伝え聞くこところに拠れば高齢者は離脱を支持し、若年層はEU
残留を指示していたという。またそもそも連合王国だったイギリス
の各王国がEU離脱勝利で終わった国民投票に異を唱え、残留の動
きが始まったという。(スコットランドや北アイルランド、リバプ
ールやロンドンも)国民の意思が国の動きを左右するというのは民
主主義の根本である。ただ、「その後」を持たない衝動だけの(移民
に反対という)国民の意思が勝利した時には大きな落とし穴が待ち構
えているに違いない。
EU離脱の意思がイギリスを一時席巻したが、祭りの後の落ち着き
の中で自分たちはこれからどのようになって行くのか、リーダーは誰
なのか、を充分に考え話し合い、道筋を示してほしいと思うのだ。道筋
が示さなければ再考するというのも重要な選択肢の一つであり、表示後
の新しい判断で修正が有効になるというのも民主主義の大きな力だ。